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Spring・・・春山に漂うエビネの芳香 |
4月の山を歩いていて、えも言われぬ芳香がしたら、その正体は「エビネの女王」といわれるニオイエビネ。その名のとおりの快い香りを放つランの一種で、御蔵島が原産地といわれます。以前は林に多く見られましたが、乱獲でほとんど見られなくなってしまいました。御蔵島村ではわずかに自生しているものを集め、保護・増殖に取り組んでいます。
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Summer・・・人とイルカの出会いがここに |
子供に限らず、大人にまで人気なのがイルカウォッチングです。野生でありながらも人懐っこく、時に人間と一緒に泳ぎ、それはイルカが人間を相手に遊んでいるようでもあります。本来イルカは一ヶ所の留まる動物ではないのですが、調査によって御蔵島沿岸には根付きのイルカが子育てをしていることがわかりました。この愛らしいイルカと長く付き合っていくためにも、ルールを守って参加してみて下さい。 |
Autumn・・・懐深い大自然の中へ美しい島の秋を満喫 |
急峻な山々に深い森、樹齢数百年の巨樹が鎮座するその足元にはオオミズナギドリの巣穴があちらこちらに。そんな森のトンネルから一気に抜け出るように、ミクラコザサの笹原が広がる湿原に出会えるのも御蔵島の自然の懐の深さといえるでしょう。高原の景観の変化に改めて魅了されます。 |
Winter・・・アシタバ摘みに歴史散策、のどかな時が流れる |
静かな冬はのんびり島の時間を楽しみたいもの。冬が一番おいしいというアシタバを摘みに出掛けてみてはいかがですか?また歴史を訪ねてみたり、みどころのひとつである島いちばんの展望スポットを訪れてみたりと断崖絶壁で囲まれた島を実感する冬の景色も格別です。 |
歴史 |
『三島大明神縁起』は次のような話を記しています。昔神々が協議した結果、龍神に頼んで海中に石を三つ置いてもらいました。石は一日一夜にしてそれぞれの島になり、さらに七つの石を置いて、合計10の島が出来上がりました。御蔵島はその6番目の島なのです。『伊豆七島誌』によると、伊豆諸島を造ったのは大国主の命の子供の事代主命であるといい、御蔵島もそのまた子供の一人に治めさせていたそうです。現在、七島に近い三島市にある三島明神に事代主命は祀られています。
以上のような話は伝説の域を出ませんが、それに比べ『八丈嶋年代記』による記述などは信頼できるものといえるでしょう。これによると、戦国時代小田原に北条早雲が進出し、伊豆の島々もその支配下に置かれたといわれます。奥山宗林を代官として派遣し、そのまま北条氏の代官は代々奥山氏に受け継がれましたが、明応7年(1498)長戸部氏に代わり、徳川の世になってからも島行政の中心にありました。もっとも御蔵島のような小さな島にまでは代官は派遣されず、三宅島に置かれた代官が合わせて支配していたものと考えられます。
その後、江戸でツゲの横櫛賀流行するに伴い、ツゲの産地である御蔵島の経済が潤うことで独立の機運が高まり、運動の結果、享保14年(1729)に独立した島として認められるようになりました。
そして、このころ御蔵島共同生活体の根幹をなす扶持米制度が打ち立てられています。この制度は、江戸時代から明治、大正時代を経てつい最近まで続いたもので、村全体の収入を一括し、そこから毎年島民に食料等を分け前として与える制度です。しかし、ツゲの需要の低下と時代の変化に伴い、この特殊制度の維持が困難になり、ついに廃止されることとなりました。現在の御蔵島は新しい経済生活に入るために、さまざまな産業振興策が実施されつつあるところです。 |